『City&Life』の企画委員会。各地で「安全・安心のまちづくり」の取り組みが進んでいるが、リスクへの過剰反応からか少々ヒステリックになっているようにも思える。そこで、防犯、セーフティ・ネットという二つの切り口から「安全・安心のまちづくり」そのものを原点に立ち返って考えてみようと企画を提案する。日端先生、陣内先生、そして協会の方も、テーマ、内容ともに関心をもってくれた。座談会2本とインタビュー3本。今号とはうってかわって、文字情報中心の読ませる内容。
陣内先生から、先日上海に行ってきたという報告。上海というと中国の中でも急速に近代化を進めている場所。超高層がバンバン建設されて、これがほんとうにあの中国? 目を疑いたくなるほど激変している様子がTVなどで再三報じられている。そういう意味で人々を驚かせてきた上海だが、陣内先生は今回の訪問で、それとはまったく異なる驚くべき事態が進んでいることに驚愕したという。「インダストリアル・ヘリテイジ」という考え方で、近代建築を保存再生するプロジェクトが大々的に行われているというのである。
あの中国がである。スクラップアンドビルドで、なんでもかんでも超高層にしてしまうという日本の状況を横目に見ながら、中国は、リノベーションを主体とした都市再開発にすでに大きく舵をとりなおしているというわけだ。そのいくつかを見学してきたようで、それがあまりにすばらしかったらしく、陣内先生は目を輝かせてわれわれにその新しい上海を語ってくれた。それで、ぜひ上海をとりあげましょうよ、だって。それは、面白いかもしれない。ついに都市開発、建築の分野においても、中国は日本を追い越してしまったようだ。