某大学大学院MBAコースで講座を一つ担当することになった。今日はその初日。広義の意味でのエンターテイメントを考えるクラス。エンターテイメントという領域は広いけれども、「娯楽、楽しみ、もてなし」という意味は共通している。しかし、果たしてそれだけか。ポランニー、カイヨワ、バタイユ、ベンヤミンと『酒』でお世話になった山崎正和さんの消費(社会)論を参照しつつ、生産と対立する消費にあっては、必ずしも「楽しみ」だけに還元できるとは限らないのではないかと問題提起をした。消費社会にあっては、一般的に言われる「娯楽、楽しみ、もてなし」と対立するものが、エンターテイメントとなりうる可能性もあるのではないかという仮説をたててみたのである。どうやらこれが新鮮だったようだ。消費社会論それ自体を知らないという学生もいたし、いままで考えもしないことをいわれて驚いたと言った学生もいた。手応えを感じた。じつは学生の大半が社会人。それもいわゆるエンターテイメント産業に関わっている人ばかりで、内心ヒヤヒヤしていたのだが、業界ネタを仕込んで知ったかぶりをするより、自分の土俵で相撲をとったほうがいいと開き直ったことが、かえってよかったようだ。躊躇せずに自分の考えをストレートに出していければいいと思う。思えば、十数年前に某広告代理店でポスト消費社会研究会なる会議の企画・運営のお手伝いをしたことが消費社会論に興味をもつきっかけだった。先月たまたまその企画を立ち上げた泉秀樹さんや堤清二さん(!!)としばらくぶりに話をする機会があって、その時の議論が話題になったばかり。どうやら当分また消費論と格闘することになりそうだ。