生態学者の遠藤彰さんが注目している「外の生理学」というのは確かに興味深いアイデアだ。遠藤さんはこう言っている。「ニューヨーク州立大学のJ・スコット・ターナーのThe Extended Organism,2000(拡張された生物体)という動物の建築物を扱った「外の生理学」のアプローチは意欲的な試みだと思います。古い生物社会有機体とまったく異なった、有機的連関性が生物体の外へどのように物とエネルギーの回路としてつながっているかという視点です。(…)遺伝子作用の限界を見据えることになるはずで、漠然とした「外部環境」と言い方では汲みつくせていないところを、生理学ですから、個体の生理の論理によって取り上げる。つまり「生きている」生物体の存立の外部基盤をおさえる話です」。この文脈から、ユクスキュルの「Umwelt=環境世界」の意味を考え直すと、ユクスキュルの見ていた環境は、われわれが現在みている外部世界とは、かなりちがったものではなかったかという想像が湧く。生理としての環境。川上紳一さんも注目している「外の生理学」、ちょっとつっこんで考えてみる必要があるかもしれませんね。