「…建築学・社会学・保健学の研究者たちは実証研究を踏まえて高層住宅居住の難点を指摘してきた。火災時の危険が大きい。免震構造の建物が増えているとはいえ、地震時の揺れによる被害は大きい。高層階に住む世帯は屋外に気楽には出られない。住戸内では母子が過度に密着し、それが子どもの発達を遅らせる。しかし、住宅の「良い/悪い」を判断するうえで、実証研究の影響力は限られている。「世界都市」において何が「良い」住宅なのかはマーケットが決定し、マーケットを動かすのは「わかりやすい」イメージである…」。
市場原理にとっては、実証研究による警鐘などへでもないのだ。マーケティングとは一種のすり替えのテクニックである。「わかりやすい」論理には、落とし穴がつきものだと心得ておくべきだろう。『談』no.72対談にご登場いただいた平山洋介さんの発言より。→「都市複雑、「わかりやすい」が危ない」
「en」9月号より。