さて、どちらをとるべきか。編集の仕事の一つに、対話を原稿に起す作業があります。ちゃんと本数を数えたことはありませんが、1月に1本まとめたとしても、すでに200本以上はやった計算になります。ちりも積もればなんとやら。我ながらよくやったものです。で、いつも悩むのが、これ。「役に立つお話にするか、読んで楽しいお話にするか」。『談』は雑誌の性格上、優先順位で言えば「役に立つお話にする」ことが一番。話題性や驚きや話手の個性を犠牲にしても、情報の鮮度、濃度、確度を生かすように心がけてきました。しかし、時にはそうした約束事をあえて破ってでも面白いお話にしたくなることがあります。
最新号に掲載を予定している斎藤環さんと北田暁大さんの対談をまとめていてそう思いました。北田さんは「僕は、話あまり上手くないし」とかおっしゃっていましたが、とんでもございません。とてもお上手でした。もちろん斎藤さんは弁舌すべらかで、立板に水。僕は、今回に限って面白主義でいくことにしました。したがって、後半のルーマニアンによる社会システム論註解、ラカニアンによる精神分析註解は、思い切ってバッサリと。じつは、ネタ的にはこっちの方がはるかにお役立ちなのですが、すみません、またの機会に。