自分の身体は他者の食べ物

小泉義之さんの文章には、いつも度肝をぬかれますが、『レヴィナス 何のために生きるのか』(河出書房新社)で、こんな言葉に出会いました。「…〈食べ物を〉〈食べ物はないか〉という語は、〈お前が食べ物だ〉と聴き取られ、〈私が食べ物である〉と引き受けられる。この出来事こそが、言葉の受肉である。自分のために生き、身体的な主体として生きることは、驚くべきことに、同時に、他者のための食べ物になりうる肉体を養い維持することでもあるのだ。私は、自分のために生きながら、他者のために生き始めてしまっているのだ。この出来事こそが、言葉の受肉である」。『談』no.53「食の哲学」で考察した食べることの底の抜け方を、小泉さんはこんな風に表現するのです。これは食べることが、日常の食べることが、徹頭徹尾、匿名的な行為でしかないことを示唆しているといえませんか。エンテツさんのスローガン「快食は快便なり」を、編集子は「…→快食→快便→快食→快便→…」という無限循環と理解していましたが、これって身体の匿名性のことだったんですね。匿名性の考察が、突如エンテツ流食の哲理と重なりあってしまったのです。

レヴィナス?何のために生きるのか

安部公房の発見

安部公房が対談で面白いことを言っていたのを発見。四半世紀も前なのに、現代の状況を的確に予測していて、2度びっくり。
「…ぼくは東京が好きなんだ。ぼくはなるべく写真を撮られたくない、テレビにも出たくない、自分の匿名性を失いたくない。匿名であるということは、たいへんなことなんだよね。歴史的にひじょうに進んだ段階で、はじめて可能になることなんです。むかしは、どんな人でも絶対に無名じゃなかった。姓はなくても名はあったんです」(「匿名姓と自由の原点の発想」1978年)続きを読む

匿名性と情報社会

「書き込みはしない。もっぱら読むだけ。だから私、面は割れてないわ」と自信ありげに友人は言いました。でも、それは全くの誤解。ネットというメディアでは、「読む」ことと「書き込む」ことの差なんてほとんどないといっていいのです。ウェブページを「〈読む〉だけであっても、そのページが置かれているサーバ上に、こちらのIPアドレスやアクセスの日時が逐一保存されている」。だから「書き込」まなければ匿名でいられる、というわけでは全くないのです。東浩紀さんが『中央公論』に昨年発表された「情報自由論」から。続きを読む

「匿名」については関心が高いようで……

匿名性について金融・財務のコンサルタント・木村剛さんのBlogで議論が展開していたことを知りました。5月8日土曜日からの新企画「BLOG of the Week」上でのこと。
「さて、栄えある第1回「BLOG
of the Week
」において私が選んだのは、「技術系サラリーマンの交差点」さんによる「ネットでの匿名と実名」というタイトルの考察です。これは3月16日に私が「blogの未来は参加者が創る」という「ゴーログ」を掲示したところ、それに対してトラックバックしていただいたものです。
 じつは、「技術系サラリーマンの交差点」さんは、この件に関して、「私がネットで実名を名乗る理由1」「私がネットで実名を名乗る理由2」「私がネットで実名を名乗る理由3」というエッセーを既に書いていらっしゃいまして、その集大成が「BLOG of the Week」にえらばれた「ネットでの匿名と実名」というブログなのです」
さまざま人がトラックバックしていますが、全体としては常識的な意見が多いようです。

エンテツさんと「美味しさ」研究

エンテツさんこと大衆食の会代表・遠藤哲夫さんが来社。発刊されたばかりのちくま文庫『汁かけめし快食學』を贈呈していただく。これは、エンテツさんを一躍有名にした名著『ぶっかけめしの快楽』(四谷ラウンド、1999年)の増補改訂版。なにを隠そうこの本の第1章「かけめし屋始末」に出てくるマコトなる人物は編集子のこと。エンテツさんは私のかつての上司だったのです。エンテツさんをお呼びしたのは、食と言葉の関係を探るプロジェクトを始めたからです。

汁かけめし快食學続きを読む

いい対談か面白い対談か

さて、どちらをとるべきか。編集の仕事の一つに、対話を原稿に起す作業があります。ちゃんと本数を数えたことはありませんが、1月に1本まとめたとしても、すでに200本以上はやった計算になります。ちりも積もればなんとやら。我ながらよくやったものです。で、いつも悩むのが、これ。「役に立つお話にするか、読んで楽しいお話にするか」。『談』は雑誌の性格上、優先順位で言えば「役に立つお話にする」ことが一番。話題性や驚きや話手の個性を犠牲にしても、情報の鮮度、濃度、確度を生かすように心がけてきました。しかし、時にはそうした約束事をあえて破ってでも面白いお話にしたくなることがあります。続きを読む

「健康志向」からいかにして降りるか

科学的な根拠とは何を指しているのでしょうか。たとえば、血糖値が高い、体脂肪率が高い、BMIが高い。そうした数値によって、人々は健康かそうでないかに振り分けられ、揚げ句の果てに病気のらく印を押されてしまいます。この場合の数値が、科学的な根拠だとされています。しかし、そうでしょうか。それはただの数値でしかないのです。もっと言えば、何かを意味する記号ですらない、ただ差異があるというだけを記しているにすぎないのです。そんなことをあらためて考えさせられたのは、小泉義之さんの『ドゥルーズの哲学』(講談社現代新書)を読んだからです。
ドゥルーズの哲学―生命・自然・未来のために続きを読む

Blogは主婦の間にも浸透中

「はてな」は「2ちゃんねる」と「関心空間」の中間ぐらいに位置しているという意見があります。→「2ちゃんねる」は歌舞伎町、「関心空間」は白金台。なるほど、これは言いえて妙かも。ところで、「はてな」的なBlogコミュニティが今増殖中。主婦層を中心に女性ユーザーが急速に増加、そのすそ野は拡大しています。→フルルkansai
melma!blog blogに限りなく近いこんな日記サイトも

日本的Blog

昨年末、これはビッグバンか、と思われるような勢いで増え続けたBlog。5月をすぎて少し勢いに陰りが出てきたように思えましたが、それは新たな飛躍のための充電期間だったようです。というのも、日本の代表的Blog コミュニティといわれる、はてな ココログが新しいサービスを始め、あるいは楽天
GREEが新たなアイデアを盛り込んだBlogをあいついで開始するなど、再びBlog周辺がにぎやかになってきたからです。Blogそのものもビジネスやマーケティング、コミュニケーションのツールに、どんどん利用されるようになってきました。Blogは日本になじまないなんていう意見も聞かれましたが、なんのなんのBlogの日本化は確実に進行しています。

「自由と暴走」のその後

no.70「自由と暴走」について、取り上げているBlogをまたいくつか発見しました。
読書日記さん
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