『〈私〉の愛国心』の〈私〉とは

香山リカさんより『〈私〉の愛国心』(ちくま新書)を贈呈していただきました。まだ全部読んでいないのですが、本書は、『ぷちナショナリズム症候群』(中公新書)の続編にあたるようです。現代の若者のナショナリズムへの傾斜を論じた著者は、今や若者だけでなく日本人全体にその傾向がみられることを、「愛国心」というキーワードを手掛かりにその行方を探ろうとしています。あとがきで著者はこう書いています。「(…)自信家の国、それはアメリカであり、〈自信家にならねば〉と躍起になっている国、それは日本である。そして、日本は、その自信家になるための条件として〈愛国心〉が必要、と強く考えているようだ」。その結果、「私」を捨てても「国」として「公」として考えようではないかと言う。しかし、それはまったく逆ではないかと著者は言います。「〈私〉を大切にするあまり、公の意識を失ったことにあるのではなく、それぞれが本当の意味で〈私〉に向き合ってこなかったことにこそ、(問題が)あるのではないか」。つまり、日本人が積み残してきたのは〈私〉についての問題だったと香山さんはいうのです。これはじつは『談』の次の特集で考えてみようと思っていたこととも重なる問題で、大いに参考になりそうです。
<私>の愛国心

堀口俊英さんに味覚の言葉を尋ねる

移転リニューアルした珈琲工房狛江店で堀口俊英さんとばったり会いました。例の「[食文化]おいしさ研究所」の企画でまたお話を伺うかもしれませんとお話しすると、またまた、珈琲の新しい切り口をべらべらべらとものすごいスピードで話してくれました。堀口さんは、珈琲に関して常にアグレッシッヴに取り組んでおられます。堀口珈琲研究所はここ→堀口珈琲研究所

音楽家による身体の思想

九州国際大学経済学部教授・石田秀実さんより『気のコスモロジー 内部観測する身体』岩波書店刊、を贈呈していただく。石田さんは、98年に『談』no.59「老いの哲学」で「壮年期という幻想 成長と老いの途上で生きる身体」というテーマでインタビューをさせていただきました。その後、ある音楽会で石田さんと再会する機会がありました。というのは、石田さんは近藤譲さん佐野清彦さんらと作曲グループW.E.T.を結成し、作曲家としても活動されておられました。音楽会とは、石田さんが東京でなさった個展のこと。アンサンブル・ノマドによる演奏が、普段あまり現代音楽に接する機会の少ない僕に強烈な印象を残し、いまでも忘れられないコンサートの一つです。石田さんはおからだを悪くされていて、めったに東京に出てくることはありません。今回またこんな大きな仕事をなさって、そのバイタリティには、ただただ頭が下がりっぱなし。ゆっくり、きちんと読ませていただきます。
気のコスモロジー―内部観測する身体
コンサートで演奏された作品を収録したCD『神聖な杜の湿り気を運ぶもの 石田秀実作品集』ALMレコード ALCD-60 2001

自転車ツアー2日目は海側

一日預かってもらった自転車を有楽町の国際ビルからpick up。まずは新橋へ。汐留シオサイトの高層ビルを眺めつつ浜松町へ。電通ビルは確かに海風をシャッタアウトしているようです。山手線の外側は涼しい風が吹いているのに、内側は風がありません。チッタ・イタリアというテーマパークのような都市再開発が進行中の地域を覗いて、浜松町→竹芝桟橋→田町→品川インターシティと走る。品川インターシティは、まちづくり関係者にはすこぶる評判がよろしくない。でも、南北400m幅45mの人工庭に200本以上のカツラの並木が続く「セントラルガーデン」は壮観でした。個人的には汐留よりいい印象。やはり、何事も自分の目と耳で確かめないとダメですね。新幹線、横須賀線、京浜東北、山の手線が縦横無人に交叉する大崎の最南端。歩道橋から品川地区の工事用地帯を見下ろすと、昨日訪れた下町とはまったく違った都市の姿がそこにはありました。五反田、目黒と走り、最終目的地、恵比寿ビールファクトリーに到着したのは16時すぎ。山手線一周39km、高低差35m。いやはや、東京は広い。そしてさまざな生活と暮らしがそこにはありました。陳腐なほどステレオタイプな感想ですが、その陳腐さこそ都市の表情そのもの。ああ、なんて陳腐な感想。

小林一三のビジネスモデルの次

岐阜大学工学部教授・秋山孝正さんと神戸国際大学教授・土井勉さんの対談を京都グランヴィア・ホテルで開催。テーマは「中間域が〈まち〉を愉しくする」。海道先生のインタビューと同じ「C&L」の企画。お二人とも顔見知りなので、和やかな雰囲気の中で話が進む。岐阜市が路面電車廃止を決定したということがここでも話題になりました。土井さんは阪急電鉄からお役所に入り今年先生に。経歴からもわかるように、なかなかのアイデアマン。次々と話題を出します。秋山さんは、意外に常識的でした。鉄道の需要が落ち込んでいる。小林一三のビジネスモデルでずっときたが、今は、その次のモデルを作り出さなければならない。ITと連動させて、新しい有機的に連動したモビリティのシステムをつくる時代になった。交通計画と土地利用を組み合わせた、新たな都市経営が求められる時代になったというのが結論。小林一三のビジネスモデルの次が求められているというのは、ほんとうにそうかもしれません。

コンパクトシティの条件

岐阜県可児市にある名城大学へ。都市情報学部・海道清信教授に最近注目されている「コンパクトシティ」について、「マチプル/モビリティ……コンパクトシティの条件」というテーマでインタビューをしました。コンパクトシティは、高密度、機能の複合化、スプロールの解消を目的としますが、あくまでそれは手段。都市の魅力づくりを第一に、それを実現させる手段・方法として使うもの。形態上やコンパクトシティのモデルを無理やり既存の都市に当てはめてつくるものではないという意見です。続きを読む

ネット社会と匿名性

週末、東浩紀さんがBSディベートアワーに出演されます。テーマは「若者たちと語るネット社会」。最新号(8月初旬発行)「匿名性と野蛮」でも一つの論点となっている、ネット社会における匿名性の問題にも踏み込んで議論が交わされるようです。
出演者は他に、永野和夫さん(聖心女子大学教授)、尾木直樹さん(教育評論家)、遠藤薫さん(学習院大学教授)。
BSディベートアワー

ゾーエーとビオスは難しい

TASCにて、菊間敏夫さんの後任、染谷守彦理事長にご挨拶。『談』をやられて何年になりますかと言われて、四半世紀になると自分で答えて驚いてしまいました。インタビューをお願いしたある助教授に、学生時代に読んでましたよと言われたりするくらいだもの、長いわけです。染谷さんは、飲み屋でたまたま話を交わした人がTASCを知っていて、なんでご存じですかと聞くと以前TASCで発行している雑誌に出たとおっしゃったそうです。ゲシュタルト心理学の野口薫先生でした。僕がインタビューをまとめたのでよく覚えていますが、確か82年くらいのことだと思います。そのころウェルトハイマーとかコフカとか、僕自身ゲシュタルトに強い興味をもっていたので、確かインタビューをしようともちかけたのも僕だったように思います。
さて、本題の編集会議。editor's noteを下敷きに、今回の対談とインタビューの概略説明。小泉義之さんがしょっぱな話に出したゾーエーとビオスがわかりにくかったという感想。もう少しわかるように解説してと言われ、困ってしまいました。大澤真幸さんの解釈をちゃっかり利用させてもらって、冷や汗かきつつそれでも話しましたが、理解していただけたか自信はありません。小泉さんに触れたところを、before、after合わせて少し書き換えることにしました。酒井隆史さんの結論部分に登場する「迷惑の掛け合い」の奨めはおおいにうけて、これはみんな喜んで読むよと。そんなわけで発行がさらに遅れて、8月の第1週になりそう。今しばらくお待ち下さい。

ヘビーユーザーでした

一般書店で始めて販売した時には、西武リブロが全面協力してくれました。最近では、もっぱら青山ブックセンター。こういう雑誌は、なかなか普通の書店ではあつかってもらえません。地方小出版流通センター経由により全国の書店で買えるようにはなっています。が、目立つところに置いてもらおうとすれば、書店さんの協力がなければ絶対に無理。でも、そんなことより、一消費者として青山店を頻繁に利用していた僕は、さて、これからどこに買いに行けばいいのでしょうか。ほかにも、閉店を惜しむ人がたくさんいます。なんとかならんもんでしょうかねぇ。 obaさんの読書日記 食い倒れ日記

青山ブックセンターが閉店

直販をお願いしている青山ブックセンターが全店閉店というニュース。これは一大事です。青山店や新宿ルミネ店では、人文書のコーナーに常に平積みしてもらっていました。71号がもうすぐ発売されるという矢先、さてどうしよう。
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