『建築する身体』の発刊

荒川修作+マドリン・ギンズ著『建築する身体』を春秋社から贈呈していただきました。河本英夫さんが訳されています。「身体とは何か」、『談』の一貫したテーマですが、身体をいかに活用するか、そのためのプログラムが明かされています。いわば身体の実践書。アラカワさんの身体思想を知るいいナビゲーションです。加えて、河本さんのオートポイエシス論、メタモルフォーゼ論を理解する手引書としても読める本です。

建築する身体?人間を超えていくために

エコ地域デザイン研究所の国際ミニシンポ

法政大学62年館へ。エコ地域デザイン研究所の国際ミニシンポ「地中海世界における舟運と港町の文化―イタリアを中心に」に参加しました。研究所所長に就任された陣内秀信さんからのお誘いです。以前ナポリとアマルフィを旅して、中世都市に魅了された人間にとって、アマルフィの文化を紹介しようという今回の講演は大変楽しみでした。ジュセッペ・ガルガーノ(アマルフィ文化・歴史センター所長)「中世海洋都市アマルフィーオリエントとの交流と港町の空間構造」がそれでしたが、順番が変わって、丹羽隆子(東京海洋大学 海事システム工学科 教授)「地中海の船と港と航海ー古代ギリシアから中世イタリアへ」が最初に。そのあとドナテッラ・カラビ(ヴェネツィア建築大学教授、イタリア都市史学会会長)「中継貿易都市ヴェネツィアーその社会経済と空間の特質」。お二人のお話はそれぞれ面白いものでしたが、あくまでも本命はガルガーノさん。ところが、その後に予定が入っていたために、中座することになりました。残念。今度陣内さんにお会いする時に、どうだったかお聞きしましょう。

スイーツの精神分析

とある食品企業の広報誌の企画会議。今度の特集は「スイーツ」。自由ケ丘「モンサンクレール」の辻口博啓や吉祥寺「アテスウェイ」の川村秀樹、尾山台「オーボンヴュータン」の河田勝彦とか、カリスマ・パテイシエが活躍する時代に、手作り系の巻き返しはあるのでしょうか。その秘策は、というのが今回私たちに与えられたミッションなのです。そこで考えたのが、現代のスイーツこそ精神分析的対象なのではないかという仮説です。続きを読む

郡司ペギオー幸夫さんの講演を聞く

明治大学アカデミーコモンへ。『原生計算と存在論的観測』刊行記念・郡司ペギオー幸夫講演会へ行ってきました。途中、今回の主催者の一つ三省堂神田店の人文書のコーナーを覗く。『自由と暴走』がまだ平積みになっていました。あれ、『匿名性と野蛮』はどこだろうときょろきょろしていたら、ありました、コーナーの一番いいところに。それも気恥ずかしくなるようなPOPが。「…大好評で入荷後すぐに品切れになり、再入荷したものです。北田暁大さんほかこの人選で、この値段はもう買いでしょ!」って、てへてへですよね。会場でその人文書仕入れ担当の女性とご挨拶。さて、その講演会。やはりというか当然というか、なかなかに手ごわい内容の講演でした。

原生計算と存在論的観測―生命と時間、そして原生続きを読む

感覚変容の様相に迫る『近代日本の身体感覚』

no.67「リスクのパラダイム」でインタビューをさせていただいた北海道教育大学釧路校助教授・北澤一利さんから、『近代日本の身体感覚』(青弓社)を贈呈していただきました。12人の若手の研究者による論文集で、北澤さんは国際日本文化研究センター教授・栗山茂久さんとこの本の編者をされておられます。身体の基層部で絶えず変容を強いられる感覚について、医療、美、視覚化、身体化、こころといった視座から、その変容の様相に迫ろうという意欲的な企画です。個人的な舞踏への関心から、榑沼範久さんの「〈人間化〉から〈動物化〉へ…舞踏家・土方巽の〈肉体の反乱〉」、それと、やはり北澤一利さんの「栄養ドリンクと日本人の心」を興味深く読みました。感覚変容の問題を論じる場合、表象論やイメージ論で語ってお茶を濁す場合が多いように見受けられますが、この本では感覚変容を現象として捉え、実証的な検証を踏まえて考察されているので、どの論文も説得力があります。一読をお奨めします。
近代日本の.jpg

上松次敏さんの画集

たとえば、サクラダファミリアやサン・マルコ大聖堂を俯瞰し、二つの視点から同じ画布に描くことを想像してみて下さい。そんなことほんとにできるの? それができるんですね。上松次敏さんは、画布の中にこれまで誰も見たことのない複眼的な視点を持ち込んで、世にも不思議な絵画世界をつくり出しました。
『談』no.42のヴィジュアルとして掲載させていただいた作品を含む241作品を一堂に集めた『上松次敏作品集』が鉱脈社から刊行になりました。個人的には、『談』に載った「バベルの塔」が好きですが、ブリューゲル(父)「十字架を担うキリスト」やボッス「快楽の園」をやはり同じ方法で描き上げた作品にも感動します。なにより驚くのは、これらが皆手描きだということ。CGのない時代に絵画技術を駆使してCG以上のイメージを創造したその造形力に感服します。
『上松次敏作品集』
鉱脈社 5000円
問い合せは、tel 0985-25-1758
上松次敏.jpg
上松次敏2.jp

次号の特集テーマは…

TASCで編集企画会議。次号と次々の特集テーマを決めました。no.72は「公共性と例外状態」。「自由と暴走」「匿名性と野蛮」との三部作の完結編になります。no.73は振り出しに戻って新しいシリーズを始めます。タイトルは「いのちのディレンマ」(仮題)。生命科学と社会の接点で発生している問題に迫ります。一応no.72は、11月末、no.73は、05年2月末の発行予定。
ところで、青山ブックセンターが再スタートします。すでに、新宿2店舗と自由ケ丘店はブックファーストに生まれ変わって販売を始めていますが、いよいよ本店(青山)と六本木店が青山ブックセンターとして再開です。『談』もこれまでと同じように並べていただけるようなので、みんなでガンガン買って応援いたしましょう。

Blogに最新号の紹介やコメントがのっています

最新号について、いくつかのBlogで紹介やコメントがのっています。とくに「はてな」の書き手がいち早く取り上げてくれていました。また「ココログ」にも。そのなかの一つ「oba」さんの読書日記 ところで、本誌に誤植を発見。北田暁大さんのプロフィールにある著書『責任と正義』が岩波書店となっていました。勁草書房の間違いです。みなさんどうもすみません。Web版は訂正ずみです。

「トランス・ヨーロッパ」は融合への衝動

二日にわたってライブに行ってしまいました。渋谷0-EASTでの「トランス・ヨーロッパ・フェス」。1日目がシンク・オブ・ワンで2日目がKiLA。シンク・オブ・ワンはベルギーのバンド。彼らは世界のさまざまな場所に赴いて、現地のミュージシャンと寝食をともにしながらアルバムをつくるということをやってきました。今回は、最新アルバムでコラボレーションしたブラジルのミュージシャンと来日。ジャズ、ロック、フアンクをある時はダブに、ある時はアラビックにアレンジして、最終的にはラテンフレイバーをまぶしつつブラスバンドで出力するという離れ業をやってのけます。 一方のKILAは、アイルランドのバンド。アイルランドの伝統音楽トラッドをベースに、アフロ、カリブ、ジプシー、ファンクがミックス。こっちは、それをサイケデリックでダンサブルなトランスで出力。哀愁をおびた熱狂ダンス系という、これまた二つと無い破天荒な音楽をつくり出します。両者に共通しているのは、融合への強い欲動。グローバリズムとは正反対の、自ら越境し他者と溶け合い、渾沌化することへの力強い肯定の姿勢。寛容さを失い、「過防備都市」(五十嵐太郎)へと急速に向かいつつある僕たちの社会にとって、彼らの音楽は強烈な批判言語となります。「やっぱり必要なのは文化のクレオール化だ」、そんな強い気持ちが吹き出してきました。とはいえ、頭をカラっぽにして踊り続けていたわけですけどね。続きを読む

木田元先生の読書会

木田元先生の取材用レジュメの作成。先生の本はとっても読みやすいと改めて思いました。レジュメがつくりやすいからです。それは、構成と論旨が明確だからでしょう。中央大学へ。すでに退官されておられるのですが、毎週月曜日に読書会をなさっていて、そのために大学に来られるのだそうです。読書会は、72年からほとんど休むことなくやられているとのこと。なんと30年以上! 中には結婚されて今では主婦として参加している方もおられるとか。読書会ではここのところずっとハイデガーの講義録をテキストにしているとのことでした。もちろん原書。現在の関心はとお聞きしても、ハイデガー、何か面白いものはと聞いてもハイデガー、とにかくハイデガーなのです。でも、インタビューは大変面白かった。粉川哲夫さんのことも知らなければ、「中国女」にフランシス・ジャンソンが出ていることもご存じなかった(先生はジャンソンの唯一の邦訳『現象学の意味』の訳者)。現象学もメルロ=ポンティもユクスキュルもあのマッハでさえもハイデガーに流れ込んでいく。でも、最大のキーパーソンはシェーラーだというのが、最近の先生の発見。ご友人をだいぶ亡くされて寂しいようですが、先生は元気溌剌。まだ頼まれている翻訳の仕事が山のようにあって、「自分の本がかけないよ」とにこにこしながらおっしゃっておられました。インタビューは「en」の10月号に掲載されますのでお楽しみに。
Monthly article
訪問者数



『談』とは
 
●最新号

No.109
〈ポスト真実〉時代のメディア・知性・歴史
 
●バックナンバー
No.93以前のバックナンバーにつきましては、アルシーヴ社(03-5779-8356)に問い合わせください。

No.108
おいしいってなに?……ひとは食をどう表現してきたか

No.107
老い衰えゆくからだ……話す・動くから考える

No.106
人と動物……動物は動物なのか

No.105
科学を科学する…領域を超えて

No.104
恐怖の報酬…「怖いもの見たさ」の謎
 
 
●別冊

Shikohin world 酒

Shikohin world たばこ

Shikohin world コーヒー
 
『談』アーカイブス