「承認」論は不快?

上野千鶴子さんは、昨今の「承認」ブームが不快なようだ。
「…リストカットをするような子どもたちが、寝たきりとか痴呆の人たちともっと接触したら、「自分が存在するということに、他者の許可も承認もいらないんだ」って感じてくれないかな、と思う。だって、こんなに役に立たず、こんなに希望がなく、こんなに自分を自分でどうしようもない人たちが、それでも生きている。「じゃあ、この人は死んだほうがいいのか」と、そこで立ち止まる。「死んだほうがいい」といえない私にとって、最後に何が言えるのか? そういう問いが残るでしょう」。
「人間が社会的存在でなければならないということにも、わたしは深い疑問を持ってきました。なぜわたしが生きることに、他者の承認がいるのか? なぜわたしが他人の役に立つ存在でなければならないのか? そうでなくなったときのわたしは、生きる価値を失うのか? 」(『結婚帝国 女の岐れ道』上野千鶴子・信田さよ子 講談社 2004より)
じつは、昨日お会いした立岩真也さんも同じようなことをおっしゃっていたのだ。続きを読む

午前、午後、夜とインタビュー2本、対談1本

今日は、まず午前中に大阪大学大学院工学研究科教授・新田保次先生をお訪ねしました。「マルチモーダル……中心市街地活性化への新たな戦略」というテーマを交通政策の側からはどう考えるかという内容のインタビュー。次に、京都へ移動。立命館大学大学院先端総合研究科助教授・立岩真也先生をお訪ねしました。『談』72号特集「公共性」と例外状態」で、「公共性による公共の剥奪」というテーマでのインタビュー。そして、18時からは市内のホテルで「都市は誰のものか……開くのか/閉じるのか」というテーマで対談。神戸大学発達科学部教授・平山洋介先生と中部大学工学部助教授・五十嵐太郎先生のお二人。一日にインタビューと対談を3本やったのは、さすがに始めてかもしれません。続きを読む

「マルチモーダルとまちづくり」

今日、明日と関西方面に取材旅行。『談』『City & Life』のインタビューを一緒にやってしまおうというもの。まず岡山大学へ。岡山大学環境理工学部環境デザイン工学科教授・谷口守先生。「マルチモーダル……中心市街地活性化への新たな戦略」というテーマを都市計画という立場からどう考えるかという話。そのあと、大阪の千里で都市プランナー・角橋徹也さん。角橋さんは、元都市自治研究所所長で現在オランダの都市空間研究をなさっておられる。「コンパクトな都市圏への政策転換、ポスト・モータリゼーションを見据えて」というテーマでお話を伺いました。続きを読む

リニューアルしたABC(青山ブックセンター)でさっそく本を買いました

ABC本店に行く。リニューアルから2日。以前と同じ。お客さんもたくさん入っていました。棚の位置(分類)が多少変わった程度で、本の並べ方はいうまでもなく、ギャラリーコーナーや雑誌の陳列方法などぜんぜん変わっていない。イベントだって同じようにこれからどんどんやるようで、ファンとしては大変うれしい。『談』最新号も人文書の手前コーナーに以前と同様にどっさり平積み。よっしゃー!!。思わず大声をあげてしまいました。続きを読む

『建築する身体』の発刊

荒川修作+マドリン・ギンズ著『建築する身体』を春秋社から贈呈していただきました。河本英夫さんが訳されています。「身体とは何か」、『談』の一貫したテーマですが、身体をいかに活用するか、そのためのプログラムが明かされています。いわば身体の実践書。アラカワさんの身体思想を知るいいナビゲーションです。加えて、河本さんのオートポイエシス論、メタモルフォーゼ論を理解する手引書としても読める本です。

建築する身体?人間を超えていくために

エコ地域デザイン研究所の国際ミニシンポ

法政大学62年館へ。エコ地域デザイン研究所の国際ミニシンポ「地中海世界における舟運と港町の文化―イタリアを中心に」に参加しました。研究所所長に就任された陣内秀信さんからのお誘いです。以前ナポリとアマルフィを旅して、中世都市に魅了された人間にとって、アマルフィの文化を紹介しようという今回の講演は大変楽しみでした。ジュセッペ・ガルガーノ(アマルフィ文化・歴史センター所長)「中世海洋都市アマルフィーオリエントとの交流と港町の空間構造」がそれでしたが、順番が変わって、丹羽隆子(東京海洋大学 海事システム工学科 教授)「地中海の船と港と航海ー古代ギリシアから中世イタリアへ」が最初に。そのあとドナテッラ・カラビ(ヴェネツィア建築大学教授、イタリア都市史学会会長)「中継貿易都市ヴェネツィアーその社会経済と空間の特質」。お二人のお話はそれぞれ面白いものでしたが、あくまでも本命はガルガーノさん。ところが、その後に予定が入っていたために、中座することになりました。残念。今度陣内さんにお会いする時に、どうだったかお聞きしましょう。

スイーツの精神分析

とある食品企業の広報誌の企画会議。今度の特集は「スイーツ」。自由ケ丘「モンサンクレール」の辻口博啓や吉祥寺「アテスウェイ」の川村秀樹、尾山台「オーボンヴュータン」の河田勝彦とか、カリスマ・パテイシエが活躍する時代に、手作り系の巻き返しはあるのでしょうか。その秘策は、というのが今回私たちに与えられたミッションなのです。そこで考えたのが、現代のスイーツこそ精神分析的対象なのではないかという仮説です。続きを読む

郡司ペギオー幸夫さんの講演を聞く

明治大学アカデミーコモンへ。『原生計算と存在論的観測』刊行記念・郡司ペギオー幸夫講演会へ行ってきました。途中、今回の主催者の一つ三省堂神田店の人文書のコーナーを覗く。『自由と暴走』がまだ平積みになっていました。あれ、『匿名性と野蛮』はどこだろうときょろきょろしていたら、ありました、コーナーの一番いいところに。それも気恥ずかしくなるようなPOPが。「…大好評で入荷後すぐに品切れになり、再入荷したものです。北田暁大さんほかこの人選で、この値段はもう買いでしょ!」って、てへてへですよね。会場でその人文書仕入れ担当の女性とご挨拶。さて、その講演会。やはりというか当然というか、なかなかに手ごわい内容の講演でした。

原生計算と存在論的観測―生命と時間、そして原生続きを読む

感覚変容の様相に迫る『近代日本の身体感覚』

no.67「リスクのパラダイム」でインタビューをさせていただいた北海道教育大学釧路校助教授・北澤一利さんから、『近代日本の身体感覚』(青弓社)を贈呈していただきました。12人の若手の研究者による論文集で、北澤さんは国際日本文化研究センター教授・栗山茂久さんとこの本の編者をされておられます。身体の基層部で絶えず変容を強いられる感覚について、医療、美、視覚化、身体化、こころといった視座から、その変容の様相に迫ろうという意欲的な企画です。個人的な舞踏への関心から、榑沼範久さんの「〈人間化〉から〈動物化〉へ…舞踏家・土方巽の〈肉体の反乱〉」、それと、やはり北澤一利さんの「栄養ドリンクと日本人の心」を興味深く読みました。感覚変容の問題を論じる場合、表象論やイメージ論で語ってお茶を濁す場合が多いように見受けられますが、この本では感覚変容を現象として捉え、実証的な検証を踏まえて考察されているので、どの論文も説得力があります。一読をお奨めします。
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上松次敏さんの画集

たとえば、サクラダファミリアやサン・マルコ大聖堂を俯瞰し、二つの視点から同じ画布に描くことを想像してみて下さい。そんなことほんとにできるの? それができるんですね。上松次敏さんは、画布の中にこれまで誰も見たことのない複眼的な視点を持ち込んで、世にも不思議な絵画世界をつくり出しました。
『談』no.42のヴィジュアルとして掲載させていただいた作品を含む241作品を一堂に集めた『上松次敏作品集』が鉱脈社から刊行になりました。個人的には、『談』に載った「バベルの塔」が好きですが、ブリューゲル(父)「十字架を担うキリスト」やボッス「快楽の園」をやはり同じ方法で描き上げた作品にも感動します。なにより驚くのは、これらが皆手描きだということ。CGのない時代に絵画技術を駆使してCG以上のイメージを創造したその造形力に感服します。
『上松次敏作品集』
鉱脈社 5000円
問い合せは、tel 0985-25-1758
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上松次敏2.jp
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