まちづくりの分野でも公共性の再定義が…

計画技術研究所所長林泰義さんにインタビュー。テーマは「NPOとまちづくり」。今この分野はどんどん動いている。林さんの現在の関心も、「新しい公共性」についてだった。NPO、まちづくり、地域再生、居場所づくりを関係づけていくと、コミュニティ・ビジネスや市民金融、協働という実践の側面からいくつかのキーワードが出てくるが、理論、理念の側でいうと新しい公共性=「公共性の再定義」が重要なキーワードになる。林さんの考えや活動と『談』の特集が期せずして一致した。続きを読む

人間と人間以外という区別

イラクで人質となった香田さんはどうなってしまうのか。確かに、フラフラ遊び半分で行くところじゃないし、あまりに思慮に欠ける行動だと思う。
しかし、だからといって見殺しになってもしかたがないというような今の世間の空気は、やはりおかしい。
志しが高ければいいのか。一所懸命イラクのために働いている人間なら救う価値があるが、
バックパッカーは自業自得、首をおとされてもやむえないなんて、
いったい誰が決めたのか。救われる必要のある者と救う価値すらない者。

人間と人間以外。人間と認められない人間の存在。
アガンベンなら例外状態というであろうこうした存在に対して僕らの社会は、どう対応していくのか。これは、僕の今の問題意識と直結していて、今後の動向がとても気になる。成り行きをきちっと見定めなければならないのだが、正直なところとても気が重い。

陣内秀信先生とナポリ、そして牛腸茂雄展

法政大学教授・陣内秀信先生に取材。『C&L』のブックリストの特集のため。先生が以前つくったと思われるリストをもとに行われた。テーマの「魅力ある都市とは」というよりは、「江戸・東京論の系譜学」。コラムにしようと思ったネタを、もっと深く丁寧に解説。こっちの方がいいので、コラムの方を変えることにする。終わりにナポリの話になり、教え子がナポリに住んでいるので、ぜひなんか企画して、行きましょうということに。ナポリだけでなく、バーリも近年すごくよくなったと、南イタリアにハマっている陣内先生でした。そのあと、三鷹市美術ギャラリーと芸術文化センターの二箇所で開催されている「牛腸茂雄展 自己と他者」を見る。そこでなんとも不思議な経験をすることになる。続きを読む

都市再生論の真相と畠山直哉さんの新プロジェクト

慶応義塾大学教授・日端康雄さんの取材。「都市再生論とはなにか」というテーマで、文献案内をしていただきながら、都市再生論の経緯、含意、課題についてお話いただいた。都市再生を主題とする文献は少なくないが、経済との関わりから論じられたものは意外なことに少ない、というか皆無に等しい。しかし、都市再生論には、じつは90年代以降のグローバル経済の動向が深く関わっているのだ。続きを読む

木本圭子さんNYで初の個展

案内が少し遅くなってしまったが、『談』ではお馴染みの木本圭子さんが、NYで始めての個展を開いている。昨年出版された作品集と同名の「Imaginary・Numbers」というタイトル。
プログラムによって生成される「虚数」/「想・数」の世界を、欧米人はどう見るか興味津々だ。
11月末までなので、NYに出かけられる予定のある方はぜひ立ち寄ってみて下さい。1Fにエルメスのショップの入っているオシャレなビルの8F。
MIKA
GALLERY
15 October-30 Novenber 2004
41 E 57, 8th flr
New York, NY 10022
tel 212-888-3900

木本fig .jpg続きを読む

路面電車廃止決定の裏話

都市プランナー・望月真一さんをインタビュー。7月に取材した中部地方のある地域の路面電車廃止決定の話がまくら。採算が合わないからとか利用者が少ないからとかクルマ社会だからという理由もうそではないが、公共交通問題というのは、高給をとっている年寄り役人の首切りがじつは一番大きな目的という意外な真相。電鉄企業も自治体も、結局公共交通あるいはまちづくりを本気で考えようとしていないということなのだ。都市問題は、やはり、金とコネと政治の駆け引きが引き起こすものなのだとしたら、なんだかなぁという気持ちになりますね。日本の話が長く続いて、ようやくフランスの話。フランスの地方都市では、交通政策と都市デザインがじつにうまく連動している。日本の都市に未来ない、とつくづく思ってしまう今日この頃。

齋藤純一さんにインタビュー

「公共性と例外状態」インタビュー3人目は早稲田大学政治経済学部教授・齋藤純一さん。4号館の研究室を訪ねる。なんと階段がないのに5階。足を骨折リハビリ中の写真家鈴木理策さんにはこたえたようだ。話は、公共性の再定義から始まって、アーレントの考えに沿いながらプルラティ=複数性の議論へ。「自分ではない者が自分の前に顕れる」という他者がいる空間が公共圏だという。また、公/私を問い直すことそれ自体が公共性だという。親密圏と公共圏の関係は言われているほどには単純ではない。親密圏の有効性を掘り下げていくと、それは公共圏のあらたな地平を切り拓くことになる。最後に、現在の社会のモードになりつつある「自己統治」について触れながら、自由をどう捉えるかという議論。約2時間、とても内容の濃いインタビューになった。

恋愛不安と「当事者意識」

香山リカさんから新刊『恋愛不安--「大人になりきれない心」がほしがるもの』を贈呈していただく。恋愛問題が、他のこころの問題と大きく異なるところは、その強烈な「当事者意識」だろう。この問題にするどく切り込もうとする本書は、恋愛のハウツーものでも、(どこか他人事の)心理分析でもない、「こころの科学」になっていると思う。そういえば、ものすごく昔に、この著者から恋愛について相談されたことがあったけれど、これってやっぱり内緒にしてなきゃダメなの?

恋愛不安―「大人になりきれない心」が欲しがるもの

「承認」論は不快?

上野千鶴子さんは、昨今の「承認」ブームが不快なようだ。
「…リストカットをするような子どもたちが、寝たきりとか痴呆の人たちともっと接触したら、「自分が存在するということに、他者の許可も承認もいらないんだ」って感じてくれないかな、と思う。だって、こんなに役に立たず、こんなに希望がなく、こんなに自分を自分でどうしようもない人たちが、それでも生きている。「じゃあ、この人は死んだほうがいいのか」と、そこで立ち止まる。「死んだほうがいい」といえない私にとって、最後に何が言えるのか? そういう問いが残るでしょう」。
「人間が社会的存在でなければならないということにも、わたしは深い疑問を持ってきました。なぜわたしが生きることに、他者の承認がいるのか? なぜわたしが他人の役に立つ存在でなければならないのか? そうでなくなったときのわたしは、生きる価値を失うのか? 」(『結婚帝国 女の岐れ道』上野千鶴子・信田さよ子 講談社 2004より)
じつは、昨日お会いした立岩真也さんも同じようなことをおっしゃっていたのだ。続きを読む

午前、午後、夜とインタビュー2本、対談1本

今日は、まず午前中に大阪大学大学院工学研究科教授・新田保次先生をお訪ねしました。「マルチモーダル……中心市街地活性化への新たな戦略」というテーマを交通政策の側からはどう考えるかという内容のインタビュー。次に、京都へ移動。立命館大学大学院先端総合研究科助教授・立岩真也先生をお訪ねしました。『談』72号特集「公共性」と例外状態」で、「公共性による公共の剥奪」というテーマでのインタビュー。そして、18時からは市内のホテルで「都市は誰のものか……開くのか/閉じるのか」というテーマで対談。神戸大学発達科学部教授・平山洋介先生と中部大学工学部助教授・五十嵐太郎先生のお二人。一日にインタビューと対談を3本やったのは、さすがに始めてかもしれません。続きを読む
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